たまに運動のため箱根旧東海道を芦ノ湖までウォーキングするのですが、甘酒茶屋の甘酒と力餅で一休みするのが楽しみになっています。
甘酒茶屋は箱根旧東海道沿いに数多くあった茶屋唯一の生き残りで、江戸時代初期から続く老舗です。箱根旧東海道随一の難所、樫木坂を登った先、芦ノ湖までもうひと踏ん張りといった場所にあり、思わず立ち寄りたくなる立地です。現在の樫木坂も急階段の連続でなかなかに体力を消耗します。
お店の名前のとおり甘酒が名物なんですが、力餅も素朴で美味しいです。ただ、お餅といえばあんこなんですが、甘酒茶屋にはあんこ餅がないのです。うぐいす、いそべ、くろごまきなこの三種類となっています。初めて訪れたときから疑問だったんですが、先日店主さんから以下のお話を聞くことができました。
もともと江戸時代のメニューにはお餅はなかった。お餅がメニューに加わったのは明治時代以降。メニューはそのころからほぼ変わっていない。あんこ餅がないはっきりとした理由はわからないが、あんこに大量に使われる砂糖が当時はまだまだ高級品であり入手が難しく、山の中にあるため輸送が大変だったからだろう。ただし、甘酒茶屋でも年末年始など特別な日にはあんこをつくってお汁粉を用意することもある。(ちなみに甘酒には一切砂糖は使っていません。)
なるほど。長年の疑問が解決しました。自分はてっきり冷蔵技術がないため、あんこを保存できいないことが理由と考えていましたが、そもそもあんこは小豆と砂糖があればつくれるわけで、わざわざ完成品を運んでくる必要はないですね。ものすごく合点がいったのでメモ代わりに記事を書いてみました。
ちなみに樫木坂周辺は、箱根旧東海道沿いで唯一麓まで視界がひらけている場所で、条件がよければ樫の木平から双眼鏡を覗くと東京スカイツリーを見ることができます。双眼鏡が必要ですが、肉眼でもなんとなくわかるかもしれません。